紅葉を楽しむ人々が全国から押し寄せる京都。その多くは京都市内に集まるが、京都の秋の風情は、その地だけにとどまらない。喧騒を逃れ、少し足を伸ばして訪れたい地が、城下町「舞鶴」、そして京都洛外の郷「亀岡」だ。
京都府の中西部に位置する亀岡は、かつて丹波国(たんばのくに)と呼ばれた地域の南端。戦国時代には京都の西北の要所として栄えた。水と緑が豊かな地としても知られ、嵐山まで連なる保津川ライン下りや嵯峨野トロッコ列車など、紅葉の名勝地も数多い。
今回お薦めしたいのは、亀岡の歴史を象徴する鍬山(くわやま)神社。太古の昔、亀山盆地は湖だった。そこに「国産み」の神話に出てくる大国主命(おおくにぬしのみこと)が8人の神様とともに現れ、鍬を持って峡谷を切り開いた。湖の水が保津川となって流れ出て、豊穣な亀山盆地が創られた。その際に使った鍬を山積みにした地が「鍬山(くわやま)」であり、同神社は開墾した神々が祀られているというわけだ。紅葉の時期になると、その神々の偉業を称えるかのように境内は錦秋の世界に包まれ、約1000本の紅葉を目当てに多くの写真愛好家がシャッターを切っている。 |