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来たる10月15日（火）、JR九州の豪華寝台列車「ななつ星in九州」の運行がスタートする。日本において前例がない至れり尽くせりの豪華さは、"日本版オリエント急行"という前評判どおりの列車になりそうだ。
列車名にある「ななつ」は、九州の7つの県と、客車が7両編成であること等に由来している。デザインを担当したのは、 JR九州をはじめ各地の観光列車を手掛けてきた水戸岡鋭治氏。既存車両の改造ではなく、新規に製造されたディーゼル機関車と客車7両の制作費は、約30億円にも上るという。
車両の外観は「古代漆色」。濃いあずき色の佇まいにゴールドのエンブレムが映え、格式の高さを醸し出している。
 内装も、細部までこだわり尽くした設計がなされている。"走る社交場"といえるラウンジカーは、昼は休息場、夜はバーとして機能する。
ゆったりとしたソファに腰掛け、パノラマ車窓に流れる星空を眺めながらピアノの生演奏に耳を傾けると、その空間が列車内であることを忘れてしまうだろう。食事を楽しむダイニングカーも、木材を基調とした内装が施される中、四季折々の食材を駆使した料理を楽しめるようになっている。茶室まで備わっているのは驚きだ。
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 14ものゲストルームは、すべてがスイート。1車両に3部屋ずつ配置され、シャワーやトイレ、空調が完備されている。ぐっすりと眠って旅の英気を養うことができそうだ。また、2部屋のみのデラックススイートは、格式の高いホテルの一室のようなゆとりある空間が広がり、最上級のくつろぎを得ることができるだろう。
なお、一輪挿しやランプシェードなど、車内の随所に九州が誇る有田焼の工芸品が施されている。可憐な洗面鉢は、十四代酒井田柿右衛門の作。とりわけ海外から訪れる乗客には、細かい部分でも"和"に触れることができて喜ばれそうだ。 |
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「ななつ星in九州」がこれまでの観光列車と異なるのは、豪華な車両もさることながら、なにより"クルーズトレイン"であることだ。とある場所から目的地を目指すというより、クルーズ（周遊）すること自体が目的といえる。博多駅を出発して九州各県の名所を巡り、再び博多へ戻ってくるわけだ。
 「ななつ星in九州」の辿るコースは2通り。1泊2日コースは、福岡から佐賀、長崎、熊本、大分といった九州の北西部を周遊し、異国情緒あふれる長崎や阿蘇、由布院の観光が含まれている。3泊4日コースは、福岡から大分、宮崎、鹿児島、熊本を4日間かけて巡る。阿蘇、由布院をはじめ、南国らしい海と空が広がる宮崎、鹿児島の霧島温泉郷での宿泊など、九州の魅力を存分に満喫できるようになっている。
3泊4日コースの場合は、車内泊やダイニングカーでの食事だけでなく、列車を降りて老舗の料亭で舌鼓を打ったり、旅館泊もコースに含まれているところが魅力だ。駅を降りてからも専用バスが用意されていたりと、まさに至れり尽くせり。後述する価格は、列車の運賃だけでなくバスの代金や食事、観光施設料金などの費用も込みとなっている。周到な旅行計画も含めた"鉄道の優雅な旅"を買うといった意味合いに近いだろう。
 とはいえ、がんじがらめのツアーというわけではなく、好みに応じて過ごし方を選べるポイントも作られている。
3泊4日コース（第一期・二期）の場合、宮崎神宮や青島神社を観光するか、車内でティータイムを過ごしてゆったりするかを選べたり、鹿児島では仙巌園を散策するか、薩摩焼の宗家・沈壽官窯で絵付け体験をするかを選べるなど、好みや体力に応じた選択が可能。また、希望者のみの早朝ウォーキングも阿蘇周辺で実施予定。体を動かしたくなる4日目の朝にスケジューリングしているところも周到だ。 |
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 なお、これまで紹介したコースは、第一期（2013年10月～12月出発分）と第二期（2014年1月～3月出発分）のもの。「ななつ星in九州」のチケットは、こうした出発期ごとに区切られて予約申込み期間が設けられる。第一期から第三期（2014年4月～6月出発分）まで、JR九州には定員を上回る申込みが殺到。第三期の抽選倍率は9倍となる人気ぶりだった。
乗車を希望する場合は、これから行われる第四期（2014年7月～9月出発分）に応募しよう。運行ルートや設定日などの詳細は2013年12月下旬頃に発表され、予約申込みの受付は2014年1月上旬頃から始まる予定だ。
さて、ここまできたら気になるのは価格。車内客室や旅館の部屋タイプなどによって変わってくるが、第三期の2名1室の場合、1泊2日コースは一人あたり155,000円から227,000円。3泊4日コースは車内泊2日、旅館1泊で一人あたり391,000円から566,000円となっている。価格もさることながら、申込みが殺到して入手が難しいことから、まさにプラチナチケットといえるだろう。
なお、列車のみの販売は行わず、旅行商品のみでの販売だ。みどりの窓口では扱っていないため、JR九州のクルーズトレインツアーデスク（0570-550-779）から申込もう。あるいは、主要旅行会社が企画する「ななつ星in九州」関連の旅行商品を申込むのもひとつの手だ。
鉄道の旅が好きなら、一生に一度は乗ってみたい贅沢なクルーズトレイン「ななつ星in九州」。今後も九州だけでなく、各地に登場することに期待したい。
■「ななつ星in九州」
http://www.cruisetrain-sevenstars.jp/ |
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